この記事で使用している写真は、すべて施設に撮影許可を得て掲載しています。
【世界遺産】時が止まった巨大炭鉱へ。熊本「万田坑」完全ガイド

手作りの場内マップ。巡行ルートが分かりやすく示されています。
熊本県荒尾市に、まるで映画のセットのような風景が広がっています。空に向かってそびえ立つ巨大な鉄骨の櫓(やぐら)と、風格ある赤レンガの建物。ここは、かつて日本の近代化を力強く支えた「三井三池炭鉱 万田坑(まんだこう)」です。
この記事では、その圧倒的なスケールで訪れる人を魅了する万田坑の歴史から、おすすめの散策ルート、お得な情報まで、その魅力を余すところなくご紹介します。
万田坑ステーションと周辺 (無料エリア)
見学の拠点!まずはここから




- 有料エリアの手前にあるガイダンス施設。この建物自体は入場無料で、誰でも気軽に立ち寄れます。
- 内部には万田坑の歴史を学べるVR体験シアターや、炭鉱全体の構造がわかる精巧なジオラマが展示されています。
- 映画『るろうに剣心 京都大火編』のロケ地としても使用され、出演者のサインや撮影時の写真が多数展示されており、ファンにはたまらないスポットです!
汽罐場(きかんば)跡と煙突の土台

360カメラをつかって中で撮影してみました
- 明治末期から大正末期にかけて、万田坑の動力は主にこの汽罐場(ボイラー室)で石炭を焚いて作られる蒸気でまかなわれていました。
- 現在、煙突そのものは残っていませんが、大正時代に造られたコンクリート製の土台が2基残されています。
- この土台を見ることで、かつてここに巨大な煙突がそびえ立ち、炭鉱全体にエネルギーを供給していた活気ある様子を想像することができます。
まるごとあらお物産館 (無料エリア)
荒尾の特産品が勢ぞろい


万田坑関連のお土産はもちろん、梨を使った特産品や有明海の海苔商品、荒尾市内の窯元さんたちがつくる小代焼の作品等々、荒尾の特産品をお買い求めいただけます。有料区域の手前にあるので、無料でご利用できます。
万田坑(有料エリア)
万田坑とは?日本の近代化を支えた巨大プロジェクト

- 日本最大級の炭鉱施設として明治後期に三井財閥が総力を挙げて建設。最新技術を導入し、日本の産業を動かす莫大な石炭を産出しました。
- エネルギーが石油へ移行し1997年に閉山。貴重な遺構は国の重要文化財・史跡に指定され、2015年に世界文化遺産に登録されました。
見どころ① 動力の心臓部「巻揚機室」


- 重厚な赤レンガ造りの建物で、第二竪坑の巨大なエレベーター(ケージ)を動かしていた動力の心臓部です。
- 窓から覗き込む巨大な巻上機は圧巻の一言。当時の技術力の高さを肌で感じることができます。危険な坑内へ向かう坑夫たちが安全を祈った「山の神」もすぐそばにあります。
体験コーナー:触れて学ぶ石炭の世界


巻揚機室の入口付近では、石炭・ボタ・コークスが展示されており、実際に触って重さや質感を比べることができます。その違いを料理に例えてみましょう!
- 💎 石炭 (主役の食材)掘り出す目的の「宝物」。燃やしてエネルギーにしたり、製鉄の原料になったりします。
- 🪨 ボタ (野菜の皮やヘタ)石炭を掘る時に一緒に出てくる「いらない石ころ」。燃えないため価値がなく、積み上げられて「ボタ山」になります。
- 🔥 コークス (調理済みの食材)石炭を蒸し焼きに加工したもの。製鉄などに使われる高カロリーな燃料です。
- 🌲 メタセコイア (石炭の”原材料”)石炭の元になった古代の植物。生きている化石とも呼ばれ、この化石に触れることで、石炭が元は植物だったことを実感できます。
ざっきーの取材問題です!
宮原坑(ここではないけれど)のガイドさん情報
石炭に交じって取れるこの🪨 ボタ。
掘っていくとたくさんとれるわけですが、そのボタはどこに行ったのでしょうか?
答えは一番下にあるよ!!
見どころ② 地下への玄関口「第二竪坑」

- 万田坑のシンボルである巨大な鉄骨の櫓。ここが地下約270mの世界へと繋がる玄関口でした。
- 周辺には、坑夫たちの仕事を支えた安全燈室や浴室、ポンプ室などが現存しており、当時の人々の息づかいが聞こえてきそうです。
今はコンクリートで穴をふさいであります。この広さが何百メートルも下に続いていたと考えると、高所恐怖症の私は少しぞぞぞっとなりました。緑色の柱は鉄骨で、白く四角に光っているように見える場所はやぐらの吹き抜けです。柵がされており落ちないようになっていますが、コンクリートで塞がれる前の姿も少し見てみたかったかも…。
見どころ③ 炭鉱列車


運が良ければ、動いているところが見られます!!
圧巻のパノラマビュー

敷地全体を見渡せるスポットからの眺め。レンガ造りの建物群、そびえ立つ櫓、そして広大な敷地が織りなす景観は、まさに圧巻の一言です。
🎉 開催イベント情報
世界遺産登録10周年記念イベント開催!
【1日限定】万田坑・鉄道敷跡ウォークラリー & オータムフェスタ
2025年11月3日(月・祝)は、記念ウォークラリーとオータムフェスタが同時開催されます!
開催日時 | 令和7年11月3日(月・祝) 10:00~15:00 ※ウォークラリー受付は14:00まで。小雨決行、荒天中止。 |
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場所 | 万田坑 および 万田坑芝生広場 |
入場料 | イベント当日は万田坑有料区域も無料開放! |
内容 | スタンプラリー、スケッチ大会、高所作業車体験、マルシェなど盛りだくさん! |
その他 | 当日は大牟田・荒尾の遺産群を巡る無料シャトルバスも運行します。 |
【長期開催】世界遺産登録10周年記念 手ぬぐいスタンプラリー
世界遺産登録10周年を記念し、オリジナルの手ぬぐいを購入して近代化遺産を巡るスタンプラリーです。8つのスポットを巡って、自分だけの記念手ぬぐいを完成させましょう!
開催期間 | 令和7年10月4日(土) ~ 令和8年3月31日(火) |
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手ぬぐい価格 | 1枚 1,000円(税込) |
スタンプ設置場所(全8か所)
- 宮原坑
- 石炭産業科学館
- 三池港展望所
- 旧長崎税関三池税関支署
- 三川坑跡
- 三井港俱楽部
- 万田坑(当施設)
- 駛馬天満宮(※ここは御朱印となります)
手ぬぐい販売場所
- 宮原坑
- 石炭産業科学館
- 三川坑跡
- 万田坑(当施設でも販売しています!)
基本情報&アクセス
世界文化遺産 万田坑
所在地 | 熊本県荒尾市原万田200番地2 |
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開館時間 | 9:30~17:00 (有料区域への入場は16:30まで) |
休館日 | 月曜日(祝日の場合は翌平日)、年末年始(12/29~1/3) |
入場料 | 大人 410円 / 高校生 310円 / 小・中学生 210円 ※未就学児は無料。団体割引あり。 ※イベント開催の11/3は無料です。 |
アクセス | 🚗 九州自動車道「南関IC」から車で約20分(無料駐車場あり) 🚕 JR鹿児島本線「荒尾駅」からタクシーで約10分(徒歩約30分) |
訪問のヒント | ・無料ガイドツアー(定時開催)への参加が強くおすすめ。 ・敷地内は広く砂利道もあるため、歩きやすいスニーカー等での訪問が必須です。 |
公式サイト | 荒尾市観光協会サイトへ |
まるごとあらお物産館
所在地 | 熊本県荒尾市原万田169-22 (万田坑ステーション隣) |
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お問合せ | 0968-57-9960 |
営業時間 | 11:00~16:30 |
休館日 | 月曜日(祝日の場合は翌日) |
まとめ
日本の近代化を支えた巨大な産業遺産、万田坑。その圧倒的なスケールと、今もなお残る当時の息づかいは、写真や映像だけでは伝えきれない迫力があります。
歴史のロマンと非日常的な風景が広がるこの場所で、忘れられない時間を過ごしてみませんか?ぜひ一度、足を運んでみてください。
ざっきーの取材問題の答え
答えは 2番!
大牟田のイオンがある場所付近はもとは海だったんだ。ボタを再利用して作った土地なんだって!! ものすごい量だったんだね!!